ご挨拶

厚生労働省によれば、こころの病気で治療を受けている人は、約420万人に上るそうです(2017年)。これは日本人のおよそ30人に1人の割合となるそうです。また厚生労働省は、生涯を通じて5人に1人がこころの 病気にかかるとも指摘しています。すなわち、こころの病気は誰もが罹る可能性があるといえます。さらに 、今回の新型コロナウイルスのパンデミックは、国民の心理面に多大な影響を及ぼし、こころの病気へ対策 は最重要課題です。

一方で、こころの病気は見えにくいのが最大の問題点 です。内科などの病気は様々な血液検査や画像検査に より客観的所見が得られますが、こころあるいは精神 は患者さんの主観的な訴えを基に診ていくしかありま せん。もちろん、DSMなどの診断基準が工夫され、で きるだけ診断を客観的にする努力が行われてきました が、不十分と言わざるを得ません。

そこで待望されるのはこころの病気のバイオマーカー です。これまでも様々なこころの病気のバイオマーカーの開発が進められてきていますが 、決定的なものは未だ存在しません。 私たちはこころの病気のバイオマーカーにイノベーションを起こします。私たちのこだわ りは、安価で侵襲の少ない普通の採血によるものとAIを活用したものの開発です。患者さ んが気軽に受けられ、かつ正確なこころの病気のバイオマーカー開発を目指します。

大阪大学大学院医学系研究科精神健康医学
教授 工藤 喬

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